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同人的要素が含まれますのでご注意下さい。 当管理人嘉月が、思いつくままに書き散らしている処です。
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―思い出すのはいつも、出逢ったあの日と、去って行く背中。
 
 
日番谷は隊主会からの帰り、ふと声を掛けられて振り返った。
声をかけてきたのは、いけ好かないキツネ面の男で、自然嫌そうな顔になった。
そんな日番谷の態度をちらとも気にせず、市丸は言った。
「十番隊長はん、今日そちらの副隊長さん、お借りできへんやろか?」
常より甘い口調で頼み込む市丸を、まじまじと見る。
「あ?松本か?・・・・・・かまわね―けど」
「すんまへん、それじゃ13時に門のとこにきてもらうよう伝えて下さい」
「・・・わかった」
何の用かは知らないが、松本とこの眼の前の男は確か、幼馴染だといっていた事を思い出した。
意図は判らないが、かといって断る理由もなかったため日番谷は承諾した。
 
自分の執務室を開けるなり、ソファーに横になって、おざなりに書類を見ていた松本に溜息混じりに伝言を伝える。
「松本ー、市丸から伝言だ。13時に門のとこにこいだそうだ。」
明らかにサボっていたと思える様子だが、慌てることもなく松本は日番谷を振り返る。
「へ?市丸隊長がですか・・・?」
「ああ・・・」
「何なんですか、それ?」
「オレが、知るか!」
「え~と、行かなきゃダメですかぁ?」
面倒臭そうに言う松本に、何で俺が・・・と思いながらしかし、これで松本が行かなかったとなると、後でまた面倒だと思い、松本を促す。
「いいから、行ってこい!」
ふと考えるそぶりを見せた後、松本はソファーから立ち上がる
「は~い。それじゃ隊長、後宜しくお願いしますね」
「ああ・・・って松本!お前、仕事全然片付いてねーじゃねーか!?」
「行ってきまーすv」
金の髪を掻き揚げ、扉に向かう松本の後ろを見れば、日番谷が隊主会に行く前と書類の山は全く減っておらず、思わず待てと叫ぶ。
しかし隊長である日番谷の言葉をさらりと流すと、松
本は恐らく、世の男どもに絶大な効果を発揮するであろう笑顔とウィンク1つを残し、市丸との待ち合わせに向かった。
 
そして、松本が残した書類の束に手を付け始めてからやっと、日番谷は思い至ったのだった。
そう、今日は、美しさだけじゃなく、気風の良い性格で皆に愛されている副官―松本の誕生日だった。
「市丸のやろー……」
市丸の意図に思い至ったのだが、今一信じがたかった。
そうして、自分は副官に日頃の感謝をこめて何が出来るか、頭の隅で考え始めるのだった。
 
 
+++
 
「ああ、乱菊。おまたせ」
腕を組んで門で待っていた乱菊に、のんびりとした声がかかる
声のする方を見れば、キツネ面に貼り付けたような笑顔を浮かべた市丸が、ゆっくりとした足取りでやってくる。
「自分で呼び出しといて、待たせんじゃないわよ」
「カンベンな。でも、ほんとに来てくれたんやね」
「アンタが日番谷隊長に頼んだんじゃない、当り前でしょ。来るわよ。」
「ん~でも、十番隊長さんには「今日ぐらい、ボクの乱菊を返して」って言ったら、無視されたんやけどね」
「へ~」
「あれ?おどろかへんの?」
「だって、ウソでしょそれ」
「かなわんな~。でも、今日はボクと一緒におってくれるんやろ?」
「どうしてよ?」
「だって、今日は乱菊、ボクと過ごさんとあかん日や」
「何よそれ?」
「せやから、乱菊、今日誕生日やろ」
「ふ~ん、覚えてたんだ?」
「ボクの事、試すやなんて、ヒドイなぁ」
「ヒドかないわよ、自分で申告するなんてごめんだわ」
「そんな大事な日、忘れる訳ないやろ。信じてくれへんの?」
「まぁ、そうね。アンタが決めた誕生日だもの。忘れるわけないか」
「棘があるなぁ~」
「で、どこに連れてってくれるの?」
「乱菊の行きたいとこ」
「ったくもう・・・コースぐらい決めときなさいよ!」
「そうや、誕生日プレゼント何がええ?乱菊の欲しいもの、なんでも用意するよ?」

「……嘘ばっかり。――じゃあ、約束して」
「何を?」
「二度と、何も言わずにあたしの前から消えたりしないで」
「判った。約束する。・・・それだけでええの?」
「吉良のこと、泣かせないで。・・・そう云うのは、あたしだけで充分よ」
「何のこと?イヅルはただの部下やろ」
「そうね。でも、あんたみたいな奴について来てくれる、貴重な副官だわ」
「判った」
「・・・・・・ホント、嘘ばっかり」
「――乱菊、誕生日おめでとう。・・・・・・安心してな。黙って消えたりせぇへんから」
「破ったら、絶対許さないわ」
「恐いなぁ・・・・・・。さて、ほんなら、乱菊の好きなケーキ買って、それから――」
 
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某所で書いた乱菊BDに書き足したもの。
乱菊はこんな直接的には言わないんだろうな・・・。
 
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9月10日 ギン

「吉良、ギンいるかしら?」
「あ、松本さん、こんにちは。えっと、市丸隊長は…」
「乱菊やないの、どないしたん?」
「――アンタ今日、何の日か覚えてる?」
「今日?せやなぁ………あかん判らへんわ」
「そ、あんたが覚えてよう覚えてなかろうがどうでもいいわ。兎に角今日1日、私に付き合って頂戴」
「…イヅル、ボクちょっと出て来てもええ?」
「え、あ、ど、どうぞ…隊長のお留守は僕が及ばずながら勤めますから」
「やて、いいよ」
「じゃ、行きましょ。吉良、ちょっと借りてくわね」
「はい、いってらっしゃいませ」
「ほな、後よろしゅうな。イヅル」
--

「ギン、誕生日おめでとう」
「ああ、ボク、今日誕生日やってんな」
「…ったく、アンタのそういう処が嫌いなのよ」
「そぉ?ボクは乱菊のそういう処が好きやねんけどねぇ」

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似非京風関西弁・・・失礼。
某所の絵掲示に寄せて短く書いたBDものです。

「乱菊」
久しく聞いていなかったその声に呼ばれ机から顔を上げた。
声のした背後を振り向けば、窓の直傍の木の枝に彼がいた。
「ギン・・・あんた何やってんの?」
「何て、乱菊に逢いに」
いつもの能面の笑顔で、しれっと応えるギンに、溜息を1つついて近寄る。
「隊長が他隊の執務室に、無断で入ってんじゃないわよ」
「まだ入ってへんよ」
「そうね、でも日番谷隊長にみられたら、あんた怒鳴られるわよ」
「せやけど、最近乱菊に会えへんし」
「・・・しょうがないでしょ。副隊長になったばっかで忙しいの」
「なぁ、今夜ボクんとこに来て?」
昔と変らない、甘えた声で強請る男に内心で罵倒する。
「イヤよ。それこそ隊長の私室に違う隊の副隊長が行ったりしたら、悪眼立ちするじゃない」
「ええやん。誰も気にせえへんよ?」
「私が気にするのよ。それに、何時に終るか判んないの」
「せやったら、ボクが乱菊のとこに行くし。それならええやろ?」
「それだって目立つでしょ」
「誰にもみつからへんて。僕そういうの得意やし」
「だから、帰れるかどうか判んないって言ってるでしょ」
「待ってるよって。帰ってきてな」
人の話をまったく聞かず、そう云ってすっと枝から消えたギンに声を上げた。
「ってちょっとギン!?」
勝手に云うだけいって、去っていったその人に舌打ちを零す。
昔と何も変らない・・・いつだって、自分勝手で、こちらを振り回すだけ振り回して去って行く。
「・・・ったくあいつ、待ってるって勝手に部屋に入ってる気じゃないでしょーね・・・」
一人ごちて、窓を閉めようとしたところで部屋の扉が開いた。
「松本・・・誰かいたのか?」
自分の上官である日番谷が、怪訝な顔で云う。恐らく自分の話声が聞こえたのだろう。
「ちょっと、珍しいキツネがいたんです」
「そうか・・・。化かされんなよ」
気のない様子で返事を返し、自分の机につく日番谷から眼を離し、苦笑する。

――もう、とっくに化かされてるかもしれない。

でもそれも悪くない。
そのキツネは、自分で逢いに来る位には、あたしを気に入ってるみたいだから。



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執務室にこういうシチュエーションが出来そうな窓があるのかとか、その辺はご容赦下さい。

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